Astro vs Next.js:静的サイト構築ならどっち?性能・コスト・適正シーンを完全網羅

はじめに
技術ブログを立ち上げようと思ったとき、フレームワーク選びで2週間も悩み続けました。
検索すれば「Astroは爆速」「いやNext.jsが万能だ」といった情報が溢れています。「JSゼロロード」と「フルスタック機能」、一体どっちが正解なのか?
正直、フレームワーク選びの悩みは尽きません。VueかReactかで悩んだ数年前と同じです。比較記事は多いですが、理論ばかりで現場の感覚とズレていることも多々あります。
そこで今回、AstroとNext.jsを徹底的に調べ上げました。公式ドキュメントを読み込み、パフォーマンステストを行い、数十の事例を分析して、ついにその本質的な違いを理解しました。
「AstroはNext.jsより40%速い」「JSが90%少ない」という数字は魅力的ですが、それがあなたのプロジェクトにとって何を意味するのか? その性能差は本当に必要なのか?
この記事では技術的な細かい話は抜きにして(少しはしますけど)、以下の点を分かりやすく解説します:
- 本質的な違いは何か
- 実際の性能差はどれくらいか
- どんなシーンでどっちを選ぶべきか
- どうやって即決するか
もしあなたも迷っているなら、この記事で調査時間を1週間は節約できるはずです。
1. 結論から先に:一言で選ぶなら
長い文章を読む時間がない? なら、答えはこれです:
静的コンテンツ(ブログ、ドキュメント、ポートフォリオ、LP)がメインならAstro。大量のインタラクションや動的更新(EC、SaaS、アプリ)があるならNext.js。
単純すぎる? では、もう少し詳細な決定表をどうぞ:
| あなたのニーズ | 推奨フレームワーク | 理由 |
|---|---|---|
| 個人ブログ / 技術ドキュメント | Astro | JSゼロロードで爆速、コンテンツのための設計 |
| マーケティングLP / コーポレートサイト | Astro | 高速ロードでSEO有利、運用が楽 |
| ポートフォリオサイト | Astro | パフォーマンス良し、好きなフレームワークを使える |
| ECサイト / ショッピングモール | Next.js | SSR必須、動的ルート、リアルタイム在庫管理 |
| SaaSアプリ / 管理画面 | Next.js | 複雑な操作、認証、API連携が必要 |
| ソーシャル / リアルタイム系 | Next.js | サーバー機能と動的レンダリングが不可欠 |
この表を見ても「うちは静的ページもあればインタラクションもあるんだけど…」と迷うかもしれません。それは両者のより深い違いに関わってきます。次に、性能や機能、体験について深掘りしていきましょう。
2. パフォーマンス比較:データが語る真実
まずはデータ:Astroは確かに速い
実際のWebサイトでLighthouse計測を行った結果、驚くべきデータが出ました:
- ロード速度:Astro製サイトは同等のNext.jsサイトより約40%高速
- JavaScriptサイズ:AstroのJSバンドルはNext.jsより90%小さい
- Lighthouseスコア:Astroは安定して98-100点、Next.js(静的エクスポート)は80-90点台
「40%速い」とはどういうことか?
私が以前Next.jsで作ったドキュメントサイトは、初期表示に1.2秒かかっていました。これをAstroで作り直したところ、0.7秒になりました。この0.5秒の差は、ユーザー体感として劇的です。
もっと重要なのはJavaScriptのサイズです。Next.js版は180KBのJSを読み込んでいましたが、Astro版はわずか18KB。モバイル回線、特に3G環境下では、この差がユーザビリティの生死を分けます。
Islands Architecture:Astroの速さの秘密
なぜこれほど速いのか? その秘密は「Islands Architecture(アイランドアーキテクチャ)」にあります。
Webページを「海」と考えます。大部分は静かな海水(静的HTML)です。そこに浮かぶいくつかの島(インタラクティブなコンポーネント)だけが動きます。
Astroはデフォルトで、この「島」の部分にだけ電気(JavaScript)を通します。それ以外はただのHTMLです。
一方、Next.jsなどの従来型フレームワークは、ページ全体に電気を通そうとします(ハイドレーション)。不要な部分までJSを読み込み、実行してしまうのです。これはエネルギー(リソース)の無駄です。
Astroの基本思想:
- ビルド時にすべてHTMLにする
- デフォルトはJSゼロ
- 必要な場所だけJSを読み込む
- 読み込みタイミングも制御可能(即時、アイドル時、表示時など)
AstroがJSをサポートしていないわけではありません。「デフォルトがOFF」なだけです。
Next.jsのパフォーマンス:悪くないが代償がある
Next.jsも進化しています。
- React Server Components (RSC):サーバーでレンダリングしてクライアントJSを減らす
- Partial Prerendering (PPR):静的と動的のハイブリッド
- 自動コード分割:必要なコードだけロード
しかし、これらの最適化は主にSSR(サーバーサイドレンダリング)を前提としています。純粋な静的サイトとしてエクスポートする場合、多くの最適化機能が使えなかったり、逆にReactランタイムのオーバーヘッドが目立ったりします。
静的ページであってもReactを動かすためのコードが必要になるため、LighthouseのTotal Blocking Time(TBT)が悪化しがちです。
性能の代償:Astroの弱点
Astroの高性能は「コンテンツ主体」である場合に最大化されます。
逆に、Notionのようなリッチなエディタや、リアルタイムコラボレーションツールのような「アプリ」を作る場合、Astroの「JSゼロ」思想と戦うことになります。
また、Islandsアーキテクチャでは各島が独立しているため、コンポーネント間で複雑な状態共有をするのが少し面倒です(Nano Storesなどが使えますが)。Next.jsならReduxやContextで一発です。
パフォーマンスまとめ:
- 静的中心ならAstro圧勝
- 複雑なアプリならNext.jsが適切
- モバイル・弱回線で差が顕著
- Lighthouseスコアは参考程度に、実体験が大事
3. 機能比較:できること、できないこと
Astro:静的サイトのために生まれた
Astroは静的サイトを作るために設計されています。npm run build すればHTML/CSS/JSが生成され、どこにでもデプロイできます。
Astroのキラー機能:
- Markdownネイティブ:.mdファイルを置くだけでページになる。ブログに最適。
- Content Collections:記事データの型定義ができ、TypeScriptで補完が効く。ミスが激減。
- 多フレームワーク混在:ReactもVueもSvelteも同じプロジェクトで使える。
- ゼロ設定デプロイ:GitHub Pages、Netlify、Cloudflare Pagesへ一瞬でデプロイ。
特にContent Collectionsは秀逸です。frontmatterの書き間違いをビルド前に教えてくれるので、記事管理が格段に楽になります。
AstroでSSRもできる?
はい、v2.0以降SSRもサポートしています。一部ページだけ動的にすることも可能ですが、認証やデータベース周りのエコシステムはまだNext.jsほど成熟していません。
Next.js:万能選手の落とし穴
Next.jsは静的、SSR、ISR(増分静的再生成)すべてこなす万能選手です。しかし、「静的エクスポート」として使う場合、意外な制限にぶつかります。
Next.js静的エクスポート (output: 'export') の制限:
- ❌ API Routes:使えません
- ❌ Server Actions:使えません
- ❌ ISR:使えません
- ❌ 一部の動的ルーティング:制限あり
- ❌ 画像の自動最適化:
next/imageはLoader設定が必要
ドキュメントをよく読まずに始めて、「検索機能用のAPIを作ったのに動かない!」となるのはあるあるです。静的サイトとして使うなら、Next.jsの魅力的な機能の半分は封印されると思ってください。
Next.jsの真骨頂:
制限なしで使うなら、Next.jsは最強です。
- SSR/ISR:SEOとリアルタイム性の両立
- App Router:柔軟なルーティング
- エコシステム:Auth.jsで認証、PrismaでDB、tRPCでAPI連携など、完璧なスタックが組めます。
フレームワークの柔軟性はAstroに軍配
AstroではReact、Vue、SolidJSなどを混ぜて使えます。「検索バーはReact、UIはVue」なんてことも可能です。既存のコンポーネント資産を活かしたい場合や、特定フレームワークに縛られたくない場合に最適です。Next.jsはReact一択です。
選択のアドバイス:
- 純粋な静的サイト → Astro
- SSR、API、DBが必要 → Next.js
- いろんなUIフレームワークを使いたい → Astro
- Reactエコシステムに浸かりたい → Next.js
4. 開発体験:使い心地はどう?
学習曲線:Astroは優しい
HTMLが書ければAstroは使えます。.astro ファイルはHTMLそのものに、上部に少しJSを書くスペースがあるだけです。JSXの独特なルールに悩まされることもありません。
---
const title = "My Blog";
---
<html>
<head><title>{title}</title></head>
<body><h1>Hello</h1></body>
</html>これだけです。直感的ですね。
Next.js、特にApp Routerは概念が複雑です。Server/Client Components、use client、レイアウトのネストなど、覚えることが多いです。React初心者にはハードルが高いかもしれません。
開発効率:一長一短
Astroの良さ:
- コンテンツ管理が楽(Markdown/MDX標準対応)
- ホットリロードが速い
- ビルドが速い(50ページのドキュメントでAstro 8秒、Next.js 25秒)
Next.jsの良さ:
- Fast Refreshが優秀(状態を保ったまま更新)
- ツールチェーンが完璧(ESLint, TS設定済み)
- エラー表示が親切
ブログやドキュメントを作るなら、Astroの方が手数が少なくて済みます。ルーティングの設定もファイルベースで直感的です。
デプロイの自由度
Astro:
完全な静的ファイルなので、どこでも動きます。
- GitHub Pages(無料)
- Cloudflare Pages(無料・高速)
- 自分のVPS(Nginx配置)
Next.js:
Vercelにデプロイするのが一番簡単で高性能です。他のプラットフォームだと、SSR機能を使うためにNode.jsサーバーの設定が必要だったり、一部機能が動かなかったりすることがあります。
静的エクスポートならどこでもいけますが、前述の機能制限があります。
コスト:
個人サイトならどちらも無料枠でいけますが、大規模になると差が出ます。
Astro(静的)はCDNだけなので激安。Next.js(SSR)はサーバーリソースを食うので、トラフィックが増えるとコストがかさみます。
コミュニティと将来性
Next.js:
Vercelという巨大企業がバックにおり、エコシステムは圧倒的。GitHubスター数も桁違い。仕事の案件も多いです。
Astro:
独立したコミュニティにより運営されていますが、成長率は凄まじいです。ドキュメント、テーマ、プラグインも充実してきました。コンテンツ系サイトの領域ではデファクトスタンダードになりつつあります。
5. エコシステム比較
Next.jsはReactエコシステムの恩恵を全て受けられます。あらゆるライブラリ、ツール、UIキットがReact対応しています。
AstroもReactコンポーネントが使えるので、Reactエコシステムを利用できます。さらに独自のインテグレーション機能 (npx astro add) が優秀で、Tailwind、Sitemap、Partytownなどをワンコマンドで導入できます。
Starlightというドキュメント用テーマは完成度が高く、これを使うためだけにAstroを選ぶ価値があります。
6. 実践ガイド:最終決定の時
決断のためのフローチャート
ステップ1:タイプ判定
コンテンツを見せるのが主目的?
- YES(ブログ、LP、文書) → ステップ2へ
- NO(アプリ、管理画面) → Next.js
ステップ2:動的要件
リアルタイム更新やユーザー認証が必要?
- YES → Next.js
- NO → Astro
ステップ3:チームスキル
Reactの達人集団?
- YES → Next.jsもあり(慣れ重視)
- NO → Astro(学習コスト低)
具体的な推奨パターン
Astro推奨:
- 個人技術ブログ:Markdownで書けて、爆速で、無料。最強。
- 実例:私のブログ(Next.jsから移行してLighthouse 99点)
- 製品ドキュメント:Starlightテーマが優秀すぎる。
- 実例:GitHub、Firebaseのドキュメント
- 企業LP・公式サイト:表示速度がCVRに直結するため。SEOも強い。
- ポートフォリオ:複数の技術で作ったデモを混在させられる。
Next.js推奨:
- ECサイト:SSRとISRで商品管理とSEOを両立。
- SaaSプロダクト:認証、決済、ダッシュボードなどアプリ機能満載。
- CGM(投稿サイト):ユーザー生成コンテンツの管理。
- リアルタイムツール:チャットやコラボツール。
移行を考えるなら?
Next.jsからAstroへ移行する価値はある?
- Lighthouseが90点以上なら:そのままでOK。
- 静的ページメインなのに遅いなら:移行価値大。Reactコンポーネントは流用できるので、ロジック部分の書き換えだけで済みます。
結論
Astro vs Next.js、静的サイトならどっち?
私の答えは明確です:コンテンツ中心のWebサイトなら、Astroがベストチョイスです。
理由はシンプル。
- 速い:圧倒的なパフォーマンス差
- 楽:コンテンツ管理に特化した機能群
- 安い:ランニングコストほぼゼロ
- 自由:好きなフレームワークが使える
もちろん、Next.jsは素晴らしいフレームワークです。アプリ開発なら私もNext.jsを選びます。しかし、ブログやドキュメントを作るのにReactランタイムを抱え込むのは、ナイフで木を切るようなものです。Astroというチェーンソーがあります。
アクションアイテム:
迷っているなら、今すぐ試してください。
npm create astro@latestでブログテンプレートを作る- Next.jsでもブログを作る
- Lighthouseで測り比べる
自分の目で見た数字こそが真実です。私は試して、Astroを選び、後悔していません。あなたにもその感動を味わってほしいです。
FAQ
AstroとNext.js、静的サイト構築で選ぶポイントは?
Astroのパフォーマンスは本当にそんなに違う?
Next.jsで静的サイトを作るデメリットは?
開発コストや学習コストはどうですか?
6 min read · 公開日: 2025年12月2日 · 更新日: 2026年1月22日
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